相談 みくさん(43歳)
風俗を利用していたら、性病に感染しやすくなりますか?
急に膿状のおりものの量が増えてきました。
心当たりがあるかといえば、女風俗を利用してることぐらいです。利用をはじめて3年程経ちますが、今までは、これといった異常はありませんでした。
女性向け風俗の彼に確認したところ、直近の性病検査は陰性だったし、自分には症状が無いといいます。
女風の彼が陰性でも、私に性病感染することはありますか?
もしくは、あの日の行為で、私から彼に感染させてしまったのでしょうか?
そうであれば、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ちなみに本番行為はしていません。本番をしていなくても、性病に感染することはありますか?
ご相談ありがとうございます。
たくさん質問をいただきましたので、一つずつ一緒に考えていきましょう。
風俗を利用していたら、性病に感染しやすくなりますか?
まず、「風俗を利用していたら、性病に感染しやすくなりますか?」というご質問ですが、相手(または自分)が、不特定多数の人と性行為をしていれば、性病感染のリスクは高くなります。また回数が多ければ多い程、感染する可能性は高くなります。
これは、風俗だからどうとかは関係なく、一般的に言えることです。
感染源は、彼?それとも
「また誰からうつったのか」ということについてですが、いくつかの可能性があります。
●彼からあなたに感染した場合
・彼が性病に感染していた場合(無症状でも)
・彼が「性病検査で陰性」でも、検査後に感染していた場合
は、彼からあなたに感染した可能性があります。
●あなたが以前に誰かから感染していた場合
・あなたが元々感染していたけれど、これまで症状が出ていなかった
というケースも考えられます。
その場合、その日の行為で、あなたから彼に感染させてしまう可能性も否定できません。
「誰からうつったのか」ということを推測するのは難しいと言われています。
まず必要なのは、性病検査をしてみることです。
やっぱり性病なのかな?
検査をすればその結果は明白ですが、ある程度検討をつけたいお気持ちもあるかと思います。
おりものの色や量がおかしいということですので、例えばですが、クラミジアや細菌性膣炎を疑ってみます。
▶クラミジアはすでに感染している人から主に性行為で感染する性病の一つです。
クラミジアの場合、自覚症状や痛みなどがない人が結構いると言われています。
また、生本番しなくても性病に感染するリスクがあります。
▶細菌性膣炎は性病ではなく、性行為が未経験の方でも症状が出ます。
必要な検査等がわからない場合は、診療で医師、または看護師にご相談ください。
放置するとどうなるの?
女性の場合、クラミジアに感染していると、早産や流産しやすかったり、子宮外妊娠や不妊症のリスクも高まるといわれています。
感染の可能性がある場合は、少しでも早く検査することをおすすめします。
東京都文京区湯島
(JR山手・京浜東北線 御徒町)
性感染症専門 パーソナルヘルスクリニック
今回の相談者さんにいただいた内容の「本番をしていなくても、性病に感染することはありますか?」ということについて、女性向け風俗のよくある行為別に感染経路と感染リスクについてまとめてみました。
1.キス/ディープキス
性病は、喉や口の中に感染することがあります。
キスで口同志の感染があれば、唾液などで感染します。
2.クンニ
彼の喉に感染していた場合、クンニで彼の唾液からあなたの陰部に感染することがあります。
また別のパターンで、あなたがすでに喉に感染していた場合、彼とのキスで彼の口腔内を経由して、あなたの陰部に菌(性病によってはウイルス)を運び、あなたの陰部に感染させてしまうこともあります。
3.素股
たまたま滑って「うっかり挿入」してしまうことがありますね。挿入までいかなくても、小陰唇等にペニスが
触れてしまえば、生本番と同じリスクがあります(男性器と女性器が触れるため)。
4.フェラ
ペニスが喉の奥まで直接接触すると女性の喉に感染しやすいですし、直接接触しなくても唾液で喉や口腔内に感染する可能性があります。相手のペニスが性病に感染している可能性がゼロではない場合、気を付けた方が良いです。
その他、陰部から陰部への感染経路として直接陰部同士が触れていなくても感染する事例があります。
【彼のペニス→(フェラして)あなたの喉→(キスして)彼の喉→(クンニされて)あなたの陰部】
といったような経路です。口(喉)が菌/ウイルスを運んでしまうわけです。
〈番外編〉風俗以外での行為
5.コンドームありの本番行為
コンドームを装着していても、男性器のすべてがゴムで覆われているわけではありませんね。皮膚と皮膚の接触があれば感染する可能性があるので、コンドームをしていても、陰部から陰部への感染の可能性があります。
6.生本番
コンドームをつけないセックスの場合は、性病の感染リスクが高くなります。ペニス(亀頭)と女性器の粘膜(膣内や膣の入口等)は、バリア機能が低く、傷つきやすい皮膚です。触れ合うことで菌が侵入しやすい、つまり感染確率が上がるといえます。
さいごに
相談者さんは、ご自身から彼(女風俗の相手)への感染を気にされているようですね。
重ねてのお伝えになってしまいますが、まずは相談者さんの症状の原因が何なのか調べ、必要に応じて適切な治療にたどり着いて欲しいです。
大切なのは、少しでも早い性病検査・早期治療です。
まずは、お気軽に検査してみてくださいね。
▶性病科に受診!診察室で、どこまで話す?│性病科ナース日記
私たちは「治療に必要のない情報」をこちらからは聞かないということを徹底しています。お気軽にご受診ください。
予約してもいただくとスムーズにご案内できますが、予約なしでも受診できます。
東京都文京区湯島
(JR山手・京浜東北線 御徒町)
性感染症専門 パーソナルヘルスクリニック
パーソナルヘルスクリニック院長 塩尻大輔
国立国際医療研究センターのエイズ治療・研究開発センター(ACC)にて、HIV(エイズ)・性感染症の診療や研究活動に従事。HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供します。