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B型肝炎のワクチンの種類・費用・接種回数を解説

公開日|2021.08.22 更新日|2023.07.25

こんにちは!東京・上野御徒町のパーソナルヘルスクリニック院長 塩尻大輔(▶国立国際医療研究センター病院 エイズ治療・研究開発センター勤務医師)です。

今回は

B型肝炎は予防できます!正しい知識とその予防方法等

について解説します。

 

A型肝炎とB型肝炎の両方を同時に予防したい場合
▶A型・B型肝炎混合ワクチン

B型肝炎という病気をご存じですか?過去に予防接種や輸血による集団感染があったということでご存じの方もいるかもしれません。

 

B型肝炎とはB型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus:HBV)に感染することで起こる病気です。

症状は、全身の倦怠感に引き続き食欲不振・嘔吐(おうと)などの症状が現われ、これに引き続いて黄疸が出ることもあります。
しかし、HBVキャリアではこれらの症状が出なくても慢性肝炎が潜んでいて治療が必要な場合があります(厚生省)。

 

実は性行為による感染が多く、日本では、約130~150万人(およそ100人に1人)がB型肝炎ウイルス(HBV)に感染していると推定されています。

HBVは感染しても症状が出ないことも多い上に、感染力が強く、オーラルセックスやディープキスでも感染する可能性があるため、知らず知らずのうちに感染したりさせたりする危険があります。

性交渉の相手が多い場合など、感染リスクが高い方には、ワクチン接種による予防が推奨されています。

 

B型肝炎は予防できますので、この記事で正しい知識や感染対策を確認し、B型肝炎を予防していきましょう。

 

 

 

 

1.B型肝炎の感染経路は?

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が含まれる血液や体液が、体内に入り込むことで感染します。

HBVは感染者の精液や腟分泌液、血液、唾液などに含まれているので、具体的な感染経路例としては次のようなものがあります。

・性行為(ディープキス、オーラルセックス、アナルセックスを含む)による感染

・歯ブラシなどの共有による感染

・ピアスの穴開けなど出欠を伴う行為による感染

・注射器の使いまわしや輸血による感染

・母親から子への感染(母子感染) など

HBVは感染力が強く、HIV(エイズウイルス)やC形肝炎ウイルスよりも感染力が強いと言われています。

HBVは唾液にも含まれるため、キスやオーラルセックスによっても感染する可能性があります。一方、飲み物の回し飲み程度では感染しないと言われています。

 

予防接種や輸血による感染について

昭和23年から昭和63年までの間の集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)の際に、注射器等が連続使用されたことが原因で、最大で40万人以上の方が感染したとされています 。

【参考】厚生労働省サイト

しかし現在では、予防接種等での注射器の使いまわし禁止が徹底され、輸血される血液はすべてHBVの検査が行われており、予防接種や輸血などによる感染はほとんどなくなっています。

 

 

2.ワクチン接種が推奨される方

B型肝炎は、感染した人との血液と血液の直接接触や、精液や膣分泌液によって感染します。

そのため、他人の体液や血液などが体内に入る可能性がある方は接種が推奨されます。

・複数の性的パートナーを持つ方(オーラルセックスを含む)

・B型肝炎の方のセックスパートナーがいる方、同居家族

・海外への渡航予定がある方

・医療関係者 など

 

近年は性交渉による感染が増加

近年は性交渉による感染が増加しています。成人の感染は、針刺し事故などを除き、ほとんどが性行為による感染と言われています。

キスやオーラルセックスによっても感染する可能性があり、感染しても症状が出ないことも多いため、感染者自身がウイルスを持っていることに気付かずに、知らないうちに他人に感染させてしまうこともあります。

 

 

3.ワクチンによる予防について

B型肝炎は血液や体液に含まれるウイルスを取り込むことで感染しますので、他人の感染源となる血液や体液に触れないことが望ましいです。

とはいえ、完全に血液や体液に触れないことは難しいですね。

 

B型肝炎ウイルスは、ワクチンを接種することによって高い確率で感染を予防することができます。

ワクチンの効果は国にも認められており、2016年からは乳幼児の定期接種の対象となっています。

一方、2016年3月31日以前に生まれた方は定期接種は受けていないことになりますので、このページをご覧のほとんどの方は、ワクチンを接種していないことになります。(ご自身で任意接種をされた方を除く)

 

コロナワクチン等との同時期接種について

どちらかのワクチンを接種後、2週間の間隔を空ければ、もう一方のワクチンを接種しても大丈夫です。(コロナ以外のワクチンも同様。)これは、万が一ワクチン接種に対する副反応が出た場合にその判断をするためとなりますので、別のワクチンと同時期に接種することが原因で副反応がでたり、ワクチンの効果が減少するといったことはありません。

参考:厚生労働省Q&Aページ

 

ワクチンの費用と接種回数

※当院ではいずれのワクチンも予約不要で接種可能です。お気軽にご来院ください。

※初回接種時のみ、医師の診察(診察料)が必要です。

(1)B型肝炎ワクチン(ビームゲン)

費用:1回あたり 7,000円(税込)

接種回数:3回

接種間隔:初回、1ヶ月後、6ヶ月後

獲得した免疫は、少なくとも15年間は持続することが確認されています。20代までに接種を行った場合に最も高い効果が期待できます

接種年齢が高くなるにつれて効果は低くなり、例えば40歳過ぎでワクチンにより免疫を獲得できるのは約8割と言われています。

そのため、3回接種後1~2か月経過してから抗体検査を実施し、抗体反応が出なければ追加接種を行うこともあります。

 

 

(2)A型・B型肝炎混合ワクチン(Twinrix

費用:1回あたり 13,000円(税込)

接種回数:3回

接種間隔:初回、1ヶ月後、6ヶ月後

初回接種後、1ヶ月後と6ヶ月後の合計3回接種で、A型肝炎とB型肝炎の両方に対して10~15年程度の抗体持続が期待できます。A型肝炎も性行為によって感染する病気で、オーラルセックスやリミング(肛門をなめる行為)、肛門を触った手をなめるといった行為によって感染する可能性があります。

▶A型肝炎について詳しくはこちら

 

 

4.どんな検査があるの?

※当院ではいずれの検査も予約なしで受けることができます。

(1)B型肝炎ウィルス即日検査

費用;7,000円(税込)

方法:採血検査

検査可能時期:感染機会から2カ月以降

検査結果:約30分程度

体内のB型肝炎ウイルスの有無を判定する検査です。約30分程度で、その場で結果をお伝え致します。

 

(2)HBs抗原検査

費用:5,000円(税込)

方法:採血検査

検査可能時期:感染機会から2カ月以降

検査結果:2~3日後

体内のB型肝炎ウイルスの有無を判定する検査です。検査結果は2~3日後にWEB上で確認いただけます。

 

(3)HBs抗体検査

費用:5,000円(税込)

方法:採血検査

検査結果:2~3日後

体内にB型肝炎ウイルスに対する免疫ができているかを判定する検査です。過去に感染歴の確認や、ワクチンを接種した後に免疫(抗体)を獲得できているかを確認する際に実施します。

 

(4)他の性病とのセット検査

他の性病と合わせて検査を行いたい場合、お得なセットで検査を受けることが可能です。

次のセットにはB型肝炎の検査が含まれています。

▶各セットの詳細はこちら

・スクリーニングシンプル:15,000円(税込)

・スクリーニングベーシック:20,000円(税込)

・スクリーニングプレミアム:35,000円(税込)

・フルコース:55,000円(税込)

・レディースベーシック:22,000円(税込)

・レディースブライダル:36,000円(税込)

・採血セット:8,000円税込)

 

 

5.B型肝炎の症状は?

B型肝炎ウイルスが肝臓に入り込むと、免疫機能によってウイルスを体の外に排除しようとします。

その際に肝臓の細胞も一緒に攻撃されてしまうことで、肝臓が炎症を起こし、肝機能が低下します。これが「肝炎」です。

B型肝炎には「急性肝炎」と「慢性肝炎」の状態があります。

 

● 急性肝炎(主に大人が感染した場合)

肝機能が急速に悪化するのが急性肝炎です。

・潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)
1~6ヶ月程度

・主な症状
だるさ(倦怠感)、食欲不振、吐き気
濃い色や褐色の尿が出る、黄疸(目の白い部分や体が黄色くなること)

感染しても7割程度は症状が出ず、自然に治る人が多い傾向です。
症状が出た人のうち1〜2%は、劇症肝炎という死亡率の高い病気に進行することがあります。

 

● 慢性肝炎(主に乳幼児期に感染した場合)

出産時や乳幼児期にB型肝炎に感染した場合、生後数年から数十年の間は肝炎の症状が出ませんが、他人に感染させる可能性があります。(この状態のことを無症候性キャリアと呼びます。)

そして、思春期を過ぎると肝炎が起こり始めます。

一般的に、10~30代の頃に一過性の肝炎を起こし、ウイルス増殖の高い状態(HBe抗原陽性)からウイルス増殖の低い状態(HBe抗体陽性)に移行し、通常は肝機能は安定していきます。

しかし、1~2割程度の割合で、慢性肝炎へと移行し、肝硬変、肝がんになる人もいます。

 

 

6.B型肝炎の治療について

※当院の検査でB型肝炎の治療は実施しておりませんので、治療のできる医療機関をご紹介させていただきます。

急性B型肝炎では、抗ウイルス薬による治療等が実施されます。

慢性B型肝炎の場合は、注射薬(インターフェロン)や内服薬(核酸アナログ製剤)による治療等が実施されます。

 

 

7.さいごに/感染機会のある方は早めのワクチンを

B型肝炎は、悪化すると命にも関わるB型肝炎です。肝硬変や肝がんなどを引き起こす可能性を持つ恐ろしい病気です。

B型肝炎ウイルスは性行為によって感染しますが、本番行為がなくてもフェラチオやクンニリングス、ディープキスなどによっても感染する可能性があります。

しかも、感染しても症状が出ないことが多く、知らず知らずのうちに感染したり、感染させたりしている恐れがあります。

そのため、性交渉(オーラスセックス・アナルセックスを含む)の相手が多い方、パートナーがB型肝炎ウイルスに感染している恐れがある方など、感染リスクが高い方は、早めにワクチンを接種することが推奨されます。

上記に該当しない方も、定期的に検査を受けることをおすすめ致します。

 

 

 

当院では、予約なしでワクチン接種、B型肝炎検査ができますので、いつでもお気軽にご来院下さい。

予約していただいた方がスムーズにご案内できますので、ご希望の方はLINEを登録し、予約してください。

 

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この記事を監修した医師

塩尻大輔

パーソナルヘルスクリニック院長
塩尻大輔

国立国際医療研究センターのエイズ治療・研究開発センター(ACC)にて、HIV(エイズ)・性感染症の診療や研究活動に従事。HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供します。

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