投稿日:2021.06.29 カテゴリー: 性病（症状・治療）

猛烈な陰部のかゆみ

陰部がかゆくてどうしようもない。
当院では、季節の変わり目に、お股のかゆみ・おりものの異常で来院する方が増えます。

その原因は、カンジダという方も多くいらっしゃいます。

「軟膏を試しているのですが、改善する兆しがみられません」
「もう治らないものだと思って諦めています」

「まだ我慢できますが、病院に行くのは、おおげさですよね？」
痛みですと緊急性がありますが、かゆみの場合はつい受診を躊躇しがちのようですが、決して迷うことはありません。

まずは、正しく痒みの原因を確かめることが大切です。そして、適切な治療や対処で、不快なかゆみ症状を一日でも早く、改善したいですね。

今回は、これまでドラッグストア等で座薬や塗り薬を買って使ってみたけど治らなかった。
という方や、婦人科や産婦人科、性感染症クリニック等で原因がわからなかった、もしくは治療したけれど、治らなかったという方にお読みいただきたい記事です。

陰部のかゆみの原因

陰部のかゆみの原因は様々ですが、よくある原因は、この３つです。

1）感染によるもの（性病）

カンジダだと思い込んでいたら、性病に感染していた。といった場合もあります。
特に女性の性病は、無症状のものが多いのです。

※性病検査を受け、性病だった場合は治療を行います。

2）細菌・カビによるもの（性病ではない）

カンジダはこれにあたります。
カンジダは、性交渉により感染することもありますが、カンジダ菌は膣内に存在するカビの一種。

ヒトが健康な時には、何も悪さをしないのですが、ストレスや疲労が溜まったり、睡眠不足になったり、妊娠中の方や風邪をひいて薬（抗生物質）を飲んだりした時に仲間を増やし、かゆみや炎症を引き起こします。

悪化していくと、「かゆいことってこんなに辛いのか。痛い方がマシなんじゃないか。」とさえ思う、猛烈なかゆみが襲ってくるのが特徴です。

仕事や学校、遊びどころではない、異常な痒みです。
※カンジダ以外にも、細菌やカビの検査を受け、細菌・カビが原因だった場合は、治療ができます。

3）かぶれによるかゆみの場合

※1）や2）の可能性がない場合は、かぶれが原因のこともあります。かゆみ止め軟膏（塗り薬）等の処方が可能です。

今回は、2）に該当する
「膣（外陰性）カンジダ」について、クローズアップしてご紹介します。

そもそもカンジダってなに？

近年、「カンジダクリーム」等のTVCMも出ているので、病名については見聞きしたことがある方も多いかもしれませんね。
膣カンジダ、カンジダ膣外陰炎もしくは、性器カンジダ症等とも言います。

これらは、真菌（カビ）が膣内や外陰部で繁殖する感染症です。

カビと聞くと、ぞっとしてしまいますが、カンジタはもともとヒトの体内や皮膚、膣の中にいることが多いのです。
普段は病気を起こさない菌ですが、何かのきっかけ（生活習慣等）で、このカンジタが繁殖しすぎると、膣周辺の菌のバランスが崩れてしまい、かゆみ等の症状が出てしまうのです。

カンジダの症状って？

カンジダの初期症状については、それぞれですが、

・少し蒸れているような、むずがゆさ
・膣の中または外（外陰部）、もしくは両方がかゆい

といった症状がでる方が多いようです。
また初期症状が続くと、次のような症状が出てきます。

・外陰部が熱をもつほどかゆい
・チーズのような白いおりものが出る
（酒かすやヨーグルト状のポロポロとしたカスのようなもの）
・おりものの量が多い
・性器の表面が白くなり、皮がむけてくる

かゆみは日に日に激しくなり、日常生活に支障をきたすほどの猛烈なかゆみが襲ってくることも。
「不衛生だと思いつつも、掻かずにはいられない。」という程のかゆさで、つい掻きむしってしまい、めくれた皮膚が赤く腫れてしまう方も珍しくありません。

カンジダになりやすい人の特徴って？

再度お伝えしますが、膣（外陰炎）カンジタは、性病ではありません。性交渉経験の有無は関係なく、体調によって発症するものです。そのため、人によっては、生活習慣を見直することで予防できることもあります。

例えばこういったことが続くと、カンジダになりやすい傾向にあります。

カンジダになりやすい生活習慣の傾向

☑陰部を洗い過ぎる人
（雑菌を排除してくれるいい菌まで流してしまう）

☑過度なストレス
（免疫力が低下すると膣内の常在菌のバランスが崩れて発症しやすくなる）

☑蒸れるような下着等を長時間着用している・ナプキンやタンポンを長時間替えずに使用している
（湿っているところや蒸れやすいところでは、カビや雑菌が繁殖しやすくなる）

☑睡眠不足/栄養が偏っている食事が多い（免疫力の低下）

該当するのもはありますか？
なかなか生活習慣等を変えることは難しいですが、一度見直してみるのもよいかもしれません。

またカンジダになりやすい、再発しやすいタイミングもあります。

◆カンジダになりやすいタイミング

☑抗生物質の内服をしたとき
（膣内の乳酸菌が減ってしまうため）
☑生理前
（女性ホルモンにの働きにより、膣内環境が変化するため）

カンジダの症状があってもセックスしていいの？

カンジダを発症している間のセックスは、みなさんどうしているのでしょうか。

・ゴムをけてセックスしていても、摩擦によって痒さがこみ上げてくるので楽しめない
・症状が悪化していたので、彼に「生理中だからごめんね。」と嘘をついたけれど、一向によくならず、嘘を貫き通せない
等といった話もよく聞きますし、カンジダが発症している間の性行為では、性交痛を伴うこともあります。

また男性への感染リスクはそれほど高くはありませんが、男性に感染した場合、尿道や性器周辺の皮膚に症状が出ることもあります。
カンジダの症状が顕著に出ている場合は、必ずコンドームを着用しましょう。
※治療しながら妊活も可能です。診療にてご相談ください。

◆彼氏の治療が必要な場合

女性がひどいカンジダの場合、パートナーにうつります。そのため、女性側がせっかく治療しても、パートナーからカンジダ菌をもらって再発、ということもあります（逆の場合もあります）。そのため、再発が続くようでしたら、パートナーと一緒に検査して欲しいです。

カンジダの検査（膣ぬぐい）って？

当院の女性のカンジダの検査では、「おりもの検査」を行います。
具体的な検査の流れは下記の通りです。

①看護師からの説明を受けたあと、トイレでご自身の「おりもの」を採取していただきます。
※「膣ぬぐい」という方法で、長い綿棒のようなもので、膣の入口をなでればＯＫです。
※陰部の診察は、希望者以外は不要です。

②「膣ぬぐい」後、トイレの検査BOXに入れます

③待合室にて約20～30分お待いただくと、結果をお伝えできます（即日検査）。

検査方法はいくつかありますが、当院のおりもの検査では、検査したその日に検査結果がわかる即日検査です（グラム染色）。
そのため、検査したその日から、治療を開始することが可能です。
※他院や検査会社での郵送検査結果をお持ちの場合、診察のみ（再検査不要）で治療可能です。

顕微鏡検査で見えるカンジダの画像

棒状に伸びたものも、丸いものもカンジダです。
丸いものが成長すると糸状菌という形態になります。

▼顕微鏡でみた時のカンジダ菌（提供元：パーソナルヘルスクリニック）

カンジダの治療法って？

当院では、膣錠（膣の中にいれる薬）6日分を処方します。
加えて、症状が辛い場合やご希望の方には、抗真菌薬の軟膏（クリームの塗り薬）も処方可能です。

膣錠の使い方って？

膣錠は、夜寝る前に仰向けの状態で指にのせ、膣の中に入れます。
お薬をお渡しすると、
「今すぐ入れてもいいですか？」という方も多いのですが、日中だと動いている間にお薬が膣から出てしまってお薬の効果が十分に得られないことがあります。必ず、寝る前にご使用ください。

膣錠を入れることに、少し不安な方もいらっしゃいますが、そんなに身構えなくても大丈夫。小さいタンポンを挿入するような感覚で、すっと入れるのがコツです。
なお、翌日動いているとお薬が膣からタラタラと垂れてくることがありますので、ナプキン等をあてておくと安心です。

カンジダって再発するの？

人によっては、治療して一度治癒しても、再発するという方もいらっしゃいます。

膣錠ではあまり改善がみられなかったり、短い期間で繰り返すようであれば、飲み薬で治療する方法もありますので、お気軽にご相談ください。
検査・治療費用について

学生の方は学生割引をご利用いただけます

カンジダやそのほか気になる症状でお悩みの方へ

カンジダ膣炎に感染すると、膣の中の常在菌バランスが崩れているため、クラミジアなど、ほかの性感染症のリスクも高まります。

女性特有の悩み（生理不順・月経移動・避妊）や陰部症状の受診について、迷っている・どの検査にしたらいいか分からない等、ご相談いただけます。

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