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【男性対象】陰茎が赤い・かゆい・痛い:亀頭包皮炎の対処法
こんにちは!東京・上野御徒町のパーソナルヘルスクリニック院長 塩尻大輔(▶国立国際医療研究センター病院 エイズ治療・研究開発センター勤務医師)です。
今回は、男性の性器にありがちな症状
亀頭包皮炎の症状・治療法・再発予防方法についてご紹介します。
「ちんちんが、かゆいなあ。ムズムズする。」
「市販薬を塗っているけど赤みがひかない。」
このような症状がある場合は、もしかすると「亀頭包皮炎」という病気かもしれません。
亀頭包皮炎は、ばい菌の付着が原因で起こる病気です。
性行為が原因で感染することもありますが、陰部が不衛生な状態だったり、免疫力が低下した時にも発症の可能性は高まります。
性行為の経験有無にかかわらず、誰でも症状が出る可能性のある病気です。
▼動画でも解説しています!
1.亀頭包皮炎の症状は?
男性の陰茎・ペニス(亀頭や包皮、竿等)に、次のような症状が出ます。ムズムズとした違和感があり、パンツを下げるとパンツが汚れていたり、ポロポロと白いカスが落ちてきたり、異臭がしたりと、異常が分かりやすいのが特徴です。
見た目にも、白く皮がむけていたり、赤みが出ていたりするので、パートナーとのセックスや風俗店利用の時に、相手が異常に気付く場合が多いです。
亀頭包皮炎の主な症状
・赤くなる、黄色い膿がでる:カリ(冠状溝)や包皮
・赤み
2.亀頭包皮炎の原因は?
亀頭包皮炎は、陰茎の先の亀頭とその周辺の包皮に、カンジダ等のカビ(真菌)やブドウ球菌・腸球菌等の細菌が付着し、繁殖することで発症します。
亀頭包皮炎には真菌(カビ、特にカンジダによるもの)が原因による「真菌性亀頭包皮炎」と、細菌が原因である「細菌性亀頭包皮炎」、その両方が原因となっている場合などがあり、原因は様々です。
一般的には、真菌が根本的な原因であることがほとんどで、その2次感染で細菌も付着している場合が多いです。
また、よくあるのが、『陰茎が赤いので、梅毒だと思ってきたけれど、亀頭包皮炎だった』というケースです。
受診いただいた日に即日で診察できますので、不安な方はぜひ早めにご受診ください。
亀頭にブツブツができた場合、梅毒が流行しているので不安になる方も多いと思います。
梅毒・クラミジア・淋病の予防内服(ドキシPEP)について、ご興味のある方はこちらもご覧ください。
(2)亀頭包皮炎の感染経路は?
「彼女がカンジダかも、というので私にも感染していますか?自分も念のために検査したいです。」
という事例も多々あります。
感染経路のひとつに、菌を保有しているパートナーと性行為をした際に感染する場合もあります。
一方で、亀頭包皮炎の原因となる菌は、日常生活に普通に存在しています。
そのため、次のような場合に亀頭包皮炎になりやすいのです。
・陰部が不衛生
ペニスが不衛生な状態にあると、原因菌が繁殖しやすく、亀頭包皮炎のリスクが高まります。
【例】
・セックスの後、ペニスに体液がついたまま1日過ごす
・数日間、シャワーや入浴をしておらず、ペニスを洗っていない
・包茎(仮性包茎・真性包茎)
包茎の場合、包皮と亀頭の間に密閉された空間ができるために、真菌や雑菌が繁殖しやすくなります。
【例】
・入浴の際、皮をめくって洗っていない
・性行為(自慰行為含む)
セックス、フェラチオやオナニー(マスターベーション)などで陰部に擦過傷(摩擦でできる傷)ができると、そこから原因菌が入りこみ、発症する可能性があります。
【例】
・オナニーの時にしごきが強すぎる
・フェラチオの際、歯で傷つけられてしまった
・出血していたようでパンツが赤茶色だった
・免疫力の低下
亀頭包皮炎は日常的にありふれた菌が原因であり、免疫力が低下している場合には、それだけで発症の可能性が高まります。
【例】
・睡眠不足
・栄養バランスがとれていない食事
・仕事やプライベートによるストレスが溜まっている
3.亀頭包皮炎の検査方法は?
当院では医師による視診に加え、即日検査を行います。
亀頭包皮炎の検査
検査方法:患部を綿棒でぬぐい、顕微鏡にて観察し診断します。
検査結果:30分程度で結果をお伝えします。
検査費用:4,500円(税込)
なお、カンジダ菌による亀頭包皮炎の場合、パートナーがカンジダ性膣炎を起こしているケースがあるため、パートナーの検査・治療が必要になる場合もあります。
4.亀頭包皮炎の治療方法は?
きちんと医療機関で治療を受ければ、亀頭包皮炎は治すことができます。
当院では個別の状況に応じて、抗真菌薬・抗生物質の軟膏(塗り薬)や内服薬で治療します。
通常は軟膏のみで対応可能で、お薬代は4,000円(税込)となります。
※治療方針によって料金は変わることがあります。
治療を開始すると1~2週間程度で症状が治ることがほとんどですが、特に真菌性(カビ菌)が原因の場合は再発が多いため、2〜4週間ほど根気よく軟膏を塗布していただき、再発を防ぐことが必要です。
5.亀頭包皮炎のケア・注意点は?
亀頭包皮炎ケアは、亀頭や包皮についているカビや細菌の繁殖を防ぐことが重要なので、以下を心がけましょう
(1)陰部を清潔に保つ
陰部が不潔だと真菌や細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
入浴の際にはきちんと陰部を洗い、包茎の場合は皮もむいて洗うことで、陰部を清潔に保ちましょう。
その際、石鹸で泡立てて優しく洗いましょう。ただしタオルなどでゴシゴシ洗いすぎて傷などがつかないように注意しましょう。
「洗いすぎに注意!」と他のサイトで書かれているかもしれませんが、これは女性の陰部のことであり、男性の亀頭部の場合は洗い過ぎなどとは関係ありません。しっかり綺麗に洗うことが大切です。
入浴後は包皮をむいて亀頭部までよく乾かし、包皮内の蒸れを防ぎましょう。カンジダ菌などの菌は湿気を好むため、常に亀頭部と包皮の通気を意識して過ごしてください。パンツは綿の素材など、通気性のよい下着を履くのも効果があります。
※ボクサーパンツよりもトランクスの方が通気性は良い傾向です。なるべく締め付けないパンツがおすすめです。
(2)自然に治るの?
亀頭包皮炎を放置して、自然と症状が緩和されていくこともありますが、原因となる菌が体内からいなくなったわけではありません。
パートナーに感染させてしまう可能性や、症状が再発する可能性もあるため、亀頭包皮炎が心配な時は、早めに医療機関で相談しましょう。
長期間放置していると、亀頭部・包皮のただれや、リンパ浮腫(包皮が浮腫むこと)などの合併症を引き起こす可能性もあります。
(3)市販薬の使用について
一部の市販薬は、亀頭包皮炎の治療に一定の効果が期待できます。
しかし、亀頭包皮炎には細菌性のものと真菌性のものがあり、使用する薬が異なります。これらはとても症状が似ているため専門的に検査を受けないと判断が難しく、また、亀頭包皮炎に似た症状がでる病気には、他にも「ヘルペス」や「尖圭コンジローマ」などもあり、ご自身で判断することは非常に困難です。
自己判断で市販薬を使用しても、効果が無かったり、かえって症状を悪化させる原因になりかねないので、医療機関で医師による適切な治療を受けることが大切です。
「皮膚科と泌尿器科、どちらに受診しようか迷っています。」という声を聞くことがありますが、原因が性行為以外の場合でも、もちろん性感染症の病院に受診いただけます。
6.さいごに/お問合せ
亀頭包皮炎はセックスなどの感染の心当たりがなくても、誰でも発症する可能性があります。
心配な場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
メールで相談 ➡問合せフォームへ
電話で相談 ➡03-5817-4415
※オンライン診療では患部の視診が困難なため、亀頭包皮炎が疑われる場合は、来院による受診をお勧めしています。
オンライン診療でもご相談・受診は可能です。
国立国際医療研究センターのエイズ治療・研究開発センター(ACC)にて、HIV(エイズ)・性感染症の診療や研究活動に従事。HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供します。