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性病(梅毒・淋病・クラミジア)の予防薬ドキシペップ(Doxy-PEP)について
性病の中でも、とくに梅毒、淋病、クラミジアは感染力の高い性感染症で知られており、一回の感染率はどれも大体30%程度から高くて70%との報告があります。
感染していても3割程度の方(3人に1人)しか何かしらの症状がでないことがしられており、多くの方は無症状で過ごしています。ただし、無症状であっても感染力はあるため、性行為するかたには次々と移してしまいます。
近年の研究で、梅毒、淋病、クラミジアは飲み薬とワクチンで予防することができることが知られており、飲み薬(Doxy PEP:ドキシペップ)について解説いたします。
当院では診察後、上記いずれも即日処方・即日接種が可能です。
1.ドキシペップ(Doxy‐PEP)って何?
ドキシサイクリン(ビブラマイシン )という抗生物質を、性行為の72時間以内に内服することで、梅毒・クラミジア・淋病の感染を予防することができる、新しい性感染症の予防方法です。
世界では性感染症の増加が問題となっており、新しい性病予防の形として注目を浴びています。
ドキシペップはこんな方に推奨されています
・以前に梅毒やクラミジア、淋病、またその他性感染症にかかったことのある方
・複数のセックスパートナーがいる方
・CSW(風俗業界、AV業界等で働く方)の方など、特に感染機会の多い方
2.ドキシペップの予防効果は?
2022年7月に行われた国際エイズ学会でドキシペップに関する研究が取り上げられ、その予防効果は、梅毒は87%、クラミジアは88%、淋菌は55%と発表されました。
Luetkemeyer AF, Donnell D, Dombrowski JC, et al. Postexposure doxycycline to prevent bacterial sexually transmitted infections. N Engl J Med. 2023 Apr 6;388(14):1296-1306.
専門家の間では、予防による感染症の発生率を減らすことができれば、治療による抗生物質の使用を減らすことができるのではないかと期待の声が高まっています。
HIV /エイズへの感染が心配な方は、(HIV)PEPもございます。
3.ドキシペップ内服の注意点は?
ドキシサイクリンは、性感染症の治療以外でも用いられる一般的な抗生物質です。一般的な抗菌剤と同様、腹痛・下痢・吐き気などの副作用が起きることがあります。
また、飲み方にはいくつかの注意点があります。
● 妊娠中、授乳中の方は内服はしないようにしましょう。
● 飲み合わせによっては薬の効果が得られなくなることがあります。
必ず、医師の指示のもと内服することが大切です。
また、ドキシPEPは抗生物質(ドキシサイクリン)を使用するため、耐性菌の発生について気になる方も多いと思います。
『淋病・クラミジア・梅毒にすでに感染していながら、ドキシPEPを内服すること』が耐性菌を作ってしまうきっかけとなります。
当院ではこれらの検査を特別価格で設けております。是非定期的な性病検査にご活用ください。
4.当院での取り組み
2022年10月より当院では、エイズ治療研究開発センター(ACC)の協力のもと、性感染症に罹患するリスクの高い患者に対して、ドキシPEPを処方しています。その際は、一ヶ月後に各種性病検査を行っていただく流れで提供を行っています。
情報を蓄積することで、日本におけるドキシPEPの有効性を検証し、新たな予防医療の形を構築、社会へ還元できる取り組みとして行っています。
参考文献
- Centers for disease control and Prevention(CDC):
https://www.cdc.gov/std/dstdp/dcl/2023-october-2-doxy-pep-guidelines.htm - NEJM:
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2211934 - nam aidsmap:
https://www.aidsmap.com/news/feb-2023/vaccine-halves-gonorrhoea-rate-french-study - 現代性教育研究ジャーナル:
https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_202304.pdf