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梅毒即日検査と定量検査(TPHA・RPR)の見方をやさしく解説
梅毒の検査は「即日検査」と「定性/定量検査」があり、それぞれ役割とわかる内容が違います。
この記事では、どんな人がどの検査を選ぶべきか、結果の見方(TPHA・RPRの違い)まで、わかりやすく解説します。
この記事でわかること
• 梅毒の検査方法の種類
• 即日検査でわかること、わからないこと
• 定性/定量検査(TPHA・RPR)の意味
• それぞれの検査結果の読み方
• 治療後の経過はどの検査を受けるか
• どんな困りごとに、どの検査を受けるべきか
梅毒は、なぜ“検査の種類”が重要なのか

※ 「2023年感染症発生動向調査事業年報」厚生労働省健康生活衛生局感染症対策部感染症対策課・国立感染症研究所感染症疫学センター(2024年4月15日発行)
ここ数年、梅毒の報告数は国内で急増しています。
梅毒は潜伏期間が長く、症状が出にくい一方で、たいへん感染力が強く、「気付かないままうつしてしまう」ケースもよく見られます。
また、梅毒は検査やその結果の読み方が複雑で、医療者であっても判断に経験を要します。
当院は感染症を専門とする医師が診療を行っているため、他院での治療方針や医師の説明に不安を抱えて受診される方も少なくありません。
当院でよくある梅毒の問い合わせとして、以下のものがあります。
• 治っているのに陽性の結果が出るため、心配になる
• 治療したはずなのに陽性の結果が続くので、ずっと治療が続いている
梅毒は検査の種類によってわかることが違うため、適切な検査を選ばないと判断を誤ってしまうことがあるのです。
梅毒のPCR検査は梅毒トレポネーマ(病原体)のDNAを直接検出する検査です。よって、目に見える病変部、潰瘍(硬性下疳など)」から拭い液を採取する必要があり、「症状がない人」からは採取できないことになっています。そのため、無症状の方や、すでに症状が消えてしまった方のスクリーニングにはPCRは向いていません。
2018年から保険適応となっていますが、一部の医療機関しか実施していないのが現状です。
2. 梅毒の検査方法は大きく2つ
当院が梅毒の診断に使う検査は、以下の2つです。
② 梅毒定量検査(TPHA、RPR)、
それぞれにメリット・デメリットがあるため、わかりやすく解説をしていきます。
2- ①梅毒即日検査とは?
●陽性(+)または陰性(ー)で結果がでます。(少量の血液で TP抗体 をチェックします。)
●採血が苦手な方は、指先に針を刺して血液を採取する方法も選べます。
(精密検査も行う場合は通常の採血が必要になります)
●一度感染したことがある場合、治療後も長期間(数ヶ月〜数年)陽性反応を示します。
そのため、治療後のフォローには使えない点と、過去の感染か現在の感染か区別しにくい点に注意が必要です。
●所要時間は30分です。(院内でお待ちいただくか、お急ぎの方は検査結果をご連絡することも可能です)
☑︎当日すぐに結果が知りたい
☑︎とにかく検査を受けてすぐにでも治療を始めたい
☑︎過去の感染がない方で、できものや皮疹があり心配なかた
※明らかな梅毒所見がある場合は、医師の診察にて診断がつく場合があります。まずは診察でご相談ください。
感染後約3週間で性器や肛門、口唇などの感染部位にできる、軟骨のようにコリコリした「痛みのないしこり」
硬性下疳
この痛みのないコリコリしたしこりの事を硬性下疳と呼びます。感染機会から約3週間程度で出現し、2〜4週間で自然に消失する
ばら疹
感染機会から3ヶ月程度で菌が全身に広がり、体幹・顔・手のひらや足の裏、太ももに現れる淡い赤色の発疹(痛みや痒みはない)。お風呂上がりにとくに浮き出て見える
【関連記事】性病の予防薬ドキシペップ(DoxyPEP)梅毒・淋病・クラミジア予防
2-②梅毒定量検査とは?(TPHA・RPRの違い)
●所要時間は2〜3日です。(WEB上で結果をご確認いただけます)
●数値で結果がでます。(定量検査には『倍希釈法』と『自動化法』がありますが、当院は倍希釈法で検査を行っています。)
●定量検査はTPHA・PRPセットでの検査のため、どちらか1項目だけの検査はお受けしておりません。
☑︎過去に梅毒になったことがあるが、またかかったか調べたい
☑︎梅毒の治療後の経過が知りたい
☑︎梅毒にかかったことはわかっていて、治療を始めたい
TPHA(特異的検査)
• 梅毒の抗体を測る
• 一度陽性になると長期間陽性のまま(数ヶ月〜数年)
• “梅毒に感染したことがあるか”を示す
• 基準値:80未満
陽性だと『80、160、320、640、1280、2560・・・』と倍々の表記となる
• 過去〜現在の感染歴があるかどうかを知ることができる
RPR(非特異的検査=定量)
• 病勢(いま増えているか)を反映する
• 治療後に低下していく
• 基準値:1未満
陽性だと『1、4、8、16、32・・・』と倍々の表記で上がっていく
• 現在どのくらい活動性があるかを知ることができる
• 治療が効いているかを知ることができる
3. 検査結果の読み方:TPHA/RPR

ここからは実際の判定でどう読み解くかをみていきます。
① TPHA陰性(-) × RPR陰性(-)
→感染していない
ただし「感染機会から4週間以内」は潜伏期間のため注意
② TPHA陰性(-) × RPR陽性(+)
→偽陽性の可能性が高いが、初期感染でも有り得る
再検査が必要
③TPHA陽性(+) × RPR陽性(+)
→現在感染している可能性が高い
治療開始の対象
※治療後であれば、定量検査の数値を見ながら医師の判断が必要
④TPHA陽性(+) × RPR陰性(-)
→過去に感染した痕跡だけが残っている状態
治療済み、または古い感染の可能性
→初期感染でも有り得るため少し時間をあけて再検査も検討
4. どんな時にどの検査を受けるべき?
あなたの検査の目的はどれ?
迷いやすいところを目的別に解説します。
不安な出来事から4週間以上たっているなら即日検査がおすすめです
※梅毒の既往歴がある方は、医師または看護師にご相談ください
感染の機会が4週間以降たっていたら、定量検査で、TPHA、RPRの値をみて判断します。
皮膚症状が出ている方は、診察で診断できる場合があります。まずは医師の診察を受けましょう。
また、定量検査の結果は2〜3日かかりますが、検査をした当日に結果を待たずに治療を開始することも可能です。
スタッフにご相談ください。
【関連記事】<注射1回で治療可能>梅毒ってどんな病気?(症状・感染経路・治療法)
残念ながら、感染の機会から4週間以内にできる検査はありません。
3日以内の性行為について不安という場合は、ドキシペップの内服で予防をしましょう。
4日以上経ってしまって、感染した可能性が高い場合は、治療を始めてしまう選択肢もあります。
定量検査で、TPHA,RPRの値の変化を確認します。
定量検査で、TPHA、RPRともに「0」であれば、過去に感染した可能性は低いです。
数値が上がっているものについては、患者様ご自身での判断は難しいですので、診察にお越しください。
5. 当院でよくあるご相談と対応の例
当院では、患者さまの不安・目的に合わせた検査のご提案をしています。
①「すでに疑わしい症状があり、梅毒ではないかと思っている」
まずは医師の診察を!
性交渉のあったタイミング、皮膚症状、梅毒の感染歴を医師が総合的に判断して、梅毒の診断をします。
確定診断の目的や、患者様のニーズ(すぐに知りたいなど)や予算に合わせて、検査内容をご提案しています。
②梅毒になった人と性交渉があった。必要なら治療を始めたい。
「相手から梅毒だったと連絡が来た。性的接触から4週間以内で検査が正確にできない場合はどうしたらいいか。」
よくあるお問い合わせです。
梅毒は感染力が強く、性器、口、肛門などあらゆる部位から感染します。
まずは診察でご相談ください。
性交渉のあったタイミング、梅毒の感染歴、患者様の希望から医師が総合的に判断して、対応をご提案します。
とにかく治療を始めたいという方も、当日に治療開始することができますのでお申し付け下さい。
【関連記事】<注射1回で治療可能>梅毒ってどんな病気?(症状・感染経路・治療法)
③梅毒の治療を受けたので経過が知りたい
治療の1ヶ月後に、定量検査のみ受けましょう。
1〜2日後にWEBで結果を確認したら、治療開始時にとった採血の値と比較をします。
横ばい、または値が減少していたら治療成功です。
④他院で梅毒の結果が出たので、検査(または治療)したい
すでに梅毒の検査結果をお持ちの方は、検査結果を持参して診察を受けましょう(スマホの画面でも構いません)
検査結果を確認の上、医師が対応をご提案します。
6. まとめ、受診方法
梅毒は早期に見つければ治療でしっかり治ります。
大事なのは 状況に応じて正しい検査を選ぶこと。
当院では即日検査・定量検査(TPHA/RPR)どちらも可能なので、気になる方は気軽に相談してくださいね。
「結局、梅毒の検査は難しくてよくわからない」 そんな方は、お気軽にご相談におこしください。
看護師、医師があなたに最適な検査・治療プランをご提案いたします。
梅毒は、早く知って早く対応することが、非常に大切です。
あなたのご来院を、お待ちしております。
※治療内容の説明、性病の診断など、専門的なご説明はできません。(来院、又はオンライン診療をご利用ください)
・性病の予防薬ドキシペップ(DoxyPEP)梅毒・淋病・クラミジア予防

医学博士。日本とケニアの両国で医師免許所持。日本内科学会会員、日本感染症学会会員、日本エイズ学会会員、日本性感染症学会会員。著書、メディア出演多数。国立国際医療研究センターのエイズ治療・研究開発センター(ACC)にて、HIV(エイズ)・性感染症の診療や研究活動に従事。
HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供します。お気軽にご相談ください。
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